排尿機能外来(排尿困難,頻尿・尿失禁)

下部尿路機能障害(排尿障害,頻尿・尿失禁)

A.排尿機能外来

  • 診療日:毎週金曜日(午前)
  • 診療担当医:水流助教

頻尿・尿失禁や排尿困難などの排尿障害(下部尿路機能障害)の原因を病状に応じた適切な方法を用いて診断し,最良の治療法を選択することによって病状の改善を目指します。

B.ウロダイナミクス検査(尿流動態検査)外来(完全予約制:一人1時間枠)

  • 診療日:毎週木曜(午後)
  • 診療担当医:水流助教

ウロダイナミクス検査を駆使して、排尿障害(下部機能障害)の原因を正確に診断することを目的としています。特に重篤な症例あるいは手術適応症例を対象としています。

器具1
器具2

下部尿路機能障害(排尿障害)には、おしっこが近い(頻尿・夜間頻尿)、おしっこを我慢するのがつらい(尿意切迫)、尿をもらしてしまう(尿失禁)といった蓄尿障害と、おしっこの勢いが弱い(尿勢低下)、おしっこに時間が掛かる(排尿遷延),おしっこの線が細い(尿線細小)、おしっこの切れが悪い(排尿終末時滴下)といった尿排出障害とがあり、両方を合併することもあります。

下部尿路機能障害(排尿障害)の原因はヒトにより様々です。小児における夜尿症に始まり、神経因性膀胱(脳・脊髄・末梢神経の病気が原因で起る膀胱・尿道の機能的障害)や女性に多い腹圧性尿失禁、中高年男性における前立腺肥大症などが代表的な病気です。原因となる病気によって治療法が違いますので、適切な治療のためには正確な診断が必要です。

注意深い病歴や排尿・蓄尿に関する症状の聴取、排尿記録(排尿毎の1回排尿量の記録)や残尿測定といった簡単な検査で原因となる病気をある程度予測することができます。しかし重篤な病状が予想される場合には、尿流動態検査(膀胱と尿道の機能検査)などの専門的な検査により正確な診断をおこない、それに基づいて適切な治療を選択する必要があります。

Ⅰ.診断方法

超音波検査(エコー検査):排尿障害が重篤になると、膀胱や腎臓に形態的な変化(障害)を来たします。超音波検査により腎臓・膀胱の変化を評価することにより、排尿障害(下部尿路機能障害)の重症度を予測します。また、残尿量測定前立腺検査(サイズ測定、前立腺腫瘍診断)などに用います。

尿流測定:尿流量計に実際に排尿してもらい、尿の出るスピードを機械的に計測します。尿排出障害の重症度を評価します。

造影レントゲン検査:尿路系(腎、尿管、膀胱、尿道)の形態的異常を診断します。特に排尿時膀胱尿道造影は、尿道や膀胱の形態的あるいは機能的異常を診断するのに有用です。

CT・MRI検査:一般に尿路系(腎、尿管、膀胱、尿道)を含む内臓の形態的異常を診断するのに用いられます。当専門外来では、とくに排尿障害の原因となる神経(脳・脊髄)の異常を診断する目的で用いています。

尿流動態検査(ウロダイナミクス検査):正常な排尿には、膀胱と尿道が協調して正常に機能していることが必要です。膀胱と尿道の働きに異常を来たすと排尿障害(下部尿路機能障害)が引き起こされます。しかし、膀胱・尿道の働きの異常と言っても、極めて様々なタイプがあります。そこで、排尿時の膀胱(膀胱内圧・排尿筋圧測定)と尿道(尿道括約筋筋電図)の働きを同時に記録することにより、排尿障害(下部尿路機能障害)のタイプ(病型)を診断します。

プレッシャー・フロー検査(内圧・尿流測定):尿排出障害の原因には、膀胱の尿を排出する力が低下している場合(尿排出力の低下)(神経因性膀胱など)と尿道の働きや形態の異常によって尿の通過が障害されている場合(尿道閉塞)(前立腺肥大症など)とがあります。排尿筋圧と尿流出速度を同時記録することにより、尿排出障害の原因を診断します。

Ⅱ.治療方法いろいろ

1)小児排尿障害 (小児泌尿器のページも参照ください)

先天性の神経因性膀胱機能障害を引き起こす病気として、二分脊椎症をはじめとする各種脊髄奇形や脂肪腫などがあります。そのほか、夜尿症や昼間頻尿・尿失禁などで発見される先天性の病気としては、尿道弁や尿道狭窄などがあります。神経因性膀胱に対しては、適切な排尿管理と先進的な保存療法(膀胱内薬液注入、干渉低周波、自己間欠導尿など)にてQOL(生活の質)の向上を目指し、重篤例では、膀胱拡大術、尿道スリング手術などの手術的治療を行います。尿道奇形に対しては、経尿道的内視鏡下手術にて治療します。

夜尿症に対する生活指導や薬物治療(抗利尿ホルモン剤の経鼻スプレーなど)などを行うとともに、上記のような重篤な基礎疾患がないかを簡単な検査により評価します。

2)腹圧性尿失禁(女性に多い尿失禁) (女性泌尿器のページも参照ください)

軽症例に対しては、骨盤底筋訓練、干渉低周波治療、薬物治療などを行っています。中等症・重症例に対する手術療法としては、尿道スリング手術(TOT手術など)を行っています。ポリプロピレンテープあるいは自己筋膜(腹直筋)などを用いて、尿道をハンモックのように支えます。膀胱瘤(膀胱脱)などの骨盤臓器脱(性器脱)を合併している場合は、TVM(Tension-free Vaginal Mesh)手術を併用します。男性の術後完全尿失禁に対しては、人工尿道括約筋埋設術を行っています。

3)前立腺肥大症

ほとんどの症例では、薬物療法で治療します。手術が必要な場合には、主に内視鏡下に経尿道的前立腺切除術やホルミウムレーザー前立腺核出術をおこなっています。重篤例、手術適応例に対しては、神経因性膀胱などの合併がないかどうかを評価する必要があります。

4)神経因性膀胱

排尿をコントロールしている脳・脊髄・末梢神経の障害によって引き起こされる膀胱・尿道の機能的異常の総称です。原因疾患として、脳血管障害(脳梗塞・脳出血)、脊髄損傷,脊柱管狭窄症などの脊椎変性疾患、パーキンソン病などの神経変性疾患、子宮癌・直腸癌などの骨盤内手術後、糖尿病などがありますが、予め明らかな神経疾患を特定できない場合もあります。薬物治療、保存的治療(膀胱内薬液注入療法(オキシブチニン・カプサイシン・レジニフェラトキシン)、干渉低周波療法自己間欠導尿法など)、行動療法などをおこないます。重篤例では、手術療法(膀胱拡大術など)が必要となることもあります。

Ⅲ.受診される患者さんへのお願い

  1. 尿検査が必要ですので,尿が貯まった状態で受診ください。
  2. 排尿記録(排尿日誌)は,頻尿の原因を診断するために重要な情報を与えてくれます。頻尿のある患者さんは,起床時から翌日の起床時まで(できれば3日間)排尿毎に一回一回の排尿量をすべて記録して診察の際に持参いただければ,診断のために大きな助けになります。

排尿記録・排尿日誌は排尿機能学会のホームページからダウンロードできます
http://www.luts.gr.jp/guideline/index.html