小児泌尿器科研修

泌尿器科は、胎児期からそして人生の終末期までの患者さんを対象にしています。泌尿器科の中には、さまざまな分野がありますが、小児泌尿器科学は、非常に重要な分野の一つです。対象は、胎児から、聞き分けのない乳幼児、そして親御さんです。対象とする疾患は、ほとんどが良性疾患で、命にかかわる病気はまれです。外科的治療が必要な場合もあれば、自然治癒する手術が不要な場合もあります。治療の際は、現在の病態と治療方針、今後の展望をわかりやすく親御さんに説明しなければなりません。手術は形成手術がほとんどで、場合によっては難易度の高い手術もあります。子供たちは、時間がたてば必ず、大人になります。子供のうちに治せる病気は治して、できるだけ大人までcarryoverさせないようにしています。フォローアップは、大人までそして一生涯フォローするという覚悟が必要です。そのため、小児泌尿器研修を受けていない先生方には、重荷に感じるのかもしれません。泌尿器科研修の中で、小児泌尿器の研修は、小児泌尿器を専門にしなくても必須のものと考えています。普段の臨床の場で、小児患者を診る機会があったとしても、慌てることなく診療できるよう、common disease(包茎、陰嚢水腫、停留精巣、遊走精巣、膀胱尿管逆流症、水腎症、神経因性膀胱、遺尿症、夜尿症)の診かたの習得を目標にしています。

2010年より後期研修医の先生を対象に2か月程度、小児泌尿器専属研修を行っています。外来、手術はもとより、関連する学会や病院見学などに参加していただいています。また毎週木曜日の早朝に抄読会を行って、最新の論文に触れ、英語の論文を読む習慣をつけて頂いています。論文の選択は、研修医の先生に任せています。

研修期間:

永澤誠之先生:2010年6-7月

窪田成寿先生:2010年9-10月

吉田恵美子先生:2010年10-11月

草場拓人先生:2011年4-6月

山下寛人先生:2011年7-9月

沖中勇輝先生:2012年1-3月

研修の感想:

永澤誠之先生

普段、成人の泌尿器を中心にしている為に、小児泌尿器については知識、経験のなさから、過剰なまでに診療が難しいと考えていました。小児泌尿器科研修を通じ、外来、手術、術後を一連の流れとして、経験することで、小児泌尿器科診療の基本的な考え方を感じることが出来ました。このような研修は、一般の泌尿器科では経験出来ない、貴重な経験だと感じました。

窪田成寿先生

小児泌尿器科の領域は、先天性疾患および泌尿生殖機能の未熟さに由来する機能的病態が多く存在し、美容的な側面に加えて将来を見据えた機能の温存、回復という点を念頭において初診から手術もしくは薬物治療の導入を含めた管理や指導について考えていく必要があると感じました。小児泌尿器科研修においては良性疾患からsevereな管理が必要な疾患まで様々な病態に対する一連の考え方に触れることができ、貴重な経験ができたと感じています。

吉田恵美子先生

小児泌尿器という分野は小児の泌尿器および生殖器における先天的疾患も対象とする形成的側面も有し、他の腫瘍を対象とする外科とは異なり、創り出す外科という印象強く持ちました。また、美容的な重要性だけでなく、その後の性的機能も重要となります。また、停留精巣など後の悪性化の可能性を有する疾患もあり、治療後も引き続き長期のfollow upが重要となる分野でもあります。まだ自己決定の出来ない年齢の小児を対象とし、また母親にとっては異性の生殖器の治療となる場合もあり、母親とも協力して家庭での治療・管理継続に繋げて行くことが必要と感じました。子どものその後の人生のQOLを左右する分野であり、多くの先生が熱い信念を持って取り組んでおられるということを身を以て実感しました。

草場拓人先生

私は滋賀医科大学泌尿器科に入局してまず小児泌尿器を研修させていただきました。成人の泌尿器を学ぶ前ということもあり最初は不安でしたが、先天性奇形や機能的病態といったような泌尿器の基礎となるような勉強は興味深いものであり、楽しく取り組むことができました。小児泌尿器の手術は美容、形成的な側面もあり、丁寧な手技が多く、今までにない貴重な経験ができました。子供が大人になるように小児泌尿器は成人の泌尿器につながることが多く、小児泌尿器を研修できたことで幅広い知識を身につけていくことができると実感しています。

山下寛人先生

夏休みの時期に研修の小児泌尿器科研修があったため忙しい時期の研修となりましたが今となっては充実した研修であったと思います。小児の手術では悪性疾患というのは少なく形成外科に似た手術が多く拡大鏡を使わないと何をしているかわからないほど繊細な技術を求められます。悪いものを取り除くといったものではない特有の難しさがあります。また外来では成人しかみていなくてはわからないであろう夜尿症や二分脊椎の排尿管理や膀胱尿管逆流症の患者の基本的な見方を教えて頂きました。泌尿器ということでこれらのことは避けては通れないことであると思います。小児泌尿器科の研修は有意義なものであった確信しています。

沖中勇輝先生

小児泌尿器科領域の疾患は多くは良性の疾患であり自然に軽快する疾患も存在しますが、だからこそ、手術を含めて積極的な加療や薬物療法が必要か、子供にとっては嫌な検査が必要かなどその適応を考えること、また子供・両親に対して適切な管理・家庭での指導を行っていくことがいかに重要であるかを感じました。この研修を通して、子供たちの外来、入院(手術・検査)、術後と一連の姿を学ぶことで泌尿器科医として非常に貴重な経験が出来たと感じています。

学会参加、病院見学など:

永澤誠之先生:第19回日本小児泌尿器科学会総会@札幌、第27回日本二分脊椎研究会@大阪

窪田成寿先生:American Academy of Pediatrics @サンフランシスコ、Mayo Clinic 泌尿器科@米国ミネソタ州

吉田恵美子先生:あいち小児保健医療総合センター 泌尿器科@愛知

小児泌尿器抄読会:

木曜日 朝7:30~ @泌尿器科図書室

<永澤誠之先生担当分>

Pediatric voiding cystourethrography: a pictorial guide. Radiographics. 2000 Jan-Feb;20(1):155-68; discussion 168-71.
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Prenatal management of urogenital disorders Urol Clin North Am. 2010 May;37(2):149-58. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20569794

<窪田成寿先生担当分>

Management and Screening of Primary Vesicoureteral Reflux in Children: AUA Guideline Revised, 2010 VUR Guideline Summary

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<吉田恵美子先生担当分>

Approach to assigning gender in 46,XX congenital adrenal hyperplasia with male external genitalia: replacing dogmatism with pragmatism. J Clin Endocrinol Metab. 2010 Oct;95(10):4501-8.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20926538

ブレンダと呼ばれた少年 ジョン・コラピント著(2000年、無名舎、再刊: 2005年、扶桑社)
AS NATURE MADE HIM - THE BOY WHO WAS RAISED AS A GIRL (English) BY John Colapinto 2000 Harper Collins Publisher

日本小児内分泌学会

性分化疾患初期対応の手引き

性分化異常症の管理に関する合意見解


<草場拓人先生担当分>

New developments in the diagnosis and management of pediatrics UTIs. Urol Clin North Am. 2008; 35: 47-58

Nocturnal enuresis: behaioral treatments. Urol Clin North Am. 2004; 31: 499-507

Nocturnal enuresis: medical management. Urol Clin North Am. 2004; 31: 491-498

<山下寛人先生担当分>

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